看護師なら誰もが耳にしたことのある言葉ですが、その裏側で“やりがい”を理由に過酷な労働や低賃金を正当化されてしまうことがあります。
これがいわゆる 「やりがい搾取」 です。
実際に、残業代が出ないのに当たり前のようにサービス残業を求められたり、「看護師は使命感で働くべき」と精神論を押しつけられたりする職場も少なくありません。
気づかないうちに搾取され、心身ともに疲弊してしまう人も多いのが現実です。
そこで本記事では
- 看護師のやりがい搾取の実態
- 搾取されやすい職場の見抜き方
- 自分を守るための具体的な方法
についてわかりやすく解説します。
「やりがい」を大切にしながらも、自分の働き方を守りたいと考える方はぜひ参考にしてください。
看護師が直面する「やりがい搾取」とは?
「やりがい搾取」とは、本来は労働に対して支払われるべき賃金や待遇を軽視し“やりがい”という言葉を盾に過酷な労働を正当化することを指します。
看護師は「人の役に立ちたい」「患者さんを支えたい」という強い使命感を持っている人が多いため、このやりがいを逆手にとられてしまうケースが少なくありません。
例えば
- 患者さんの笑顔が何よりの報酬だから
- 看護師は大変なのが当たり前
- お金よりもやりがいを大事にしてほしい
といった言葉で、低賃金や長時間労働が正当化されることがあります。
私自身も以前、**「看護師は奉仕の精神で働くべき」**といった言葉を何度も聞きました。
そのときは疑問を持ちつつも「そういうものかもしれない」と受け入れてしまい、気づけば自分の時間や体力を削りながら働き続けていました。
やりがいを感じること自体は決して悪いことではありません。むしろ看護師という仕事に誇りを持つために大切な要素です。
しかし、「やりがいを口実にした搾取」には気づき、きちんと線引きをすることが重要です。
やりがい搾取の実態とよくあるケース
看護師の現場では、「やりがい」を理由にした搾取がいくつも見られます。ここでは代表的なケースを紹介します。
長時間労働の正当化
人手不足の中で夜勤や残業が常態化しているにもかかわらず、「看護師だから仕方ない」「患者さんのために頑張ろう」と言われるケース。
残業代がきちんと支払われないこともあり、労働の対価が軽視されがちです。
低賃金や昇給の少なさ
「看護師はやりがいのある仕事だから、給料は高くなくてもいい」という空気感。
他職種と比べても責任の重さに見合わない賃金水準が問題になることがあります。
人手不足の放置
職場全体が常に人手不足にもかかわらず、
「使命感で頑張るべき」と言われ続け、改善されない状態。
結果として、一人ひとりの負担が増え、心身の疲弊につながります。
精神論での押しつけ
上司や先輩から「患者さんの笑顔が何よりの報酬」「看護師は我慢して当然」といった精神論を押しつけられるケース。
これにより、職場環境の問題が放置されがちです。
やりがい搾取されている職場の見抜き方
やりがい搾取は、働き始めてから気づくケースも多いですが、実は求人票や面接の段階でもサインを見抜くことができます。
ここでは、注意すべきポイントを整理しました。
求人票や面接でのサイン
- 「アットホーム」「やりがい重視」など、抽象的な言葉ばかりが並んでいる
- 給与や残業時間が具体的に記載されていない
- 「経験よりも気持ちが大事」など精神論を強調している
現場で感じるサイン
- 残業代が支払われない:サービス残業が常態化している
- 人員不足が放置されている:常に誰かが欠員状態で、改善されない
- 精神論が優先される:「患者さんのためだから」と、制度改善の話が進まない
- 離職率が高い:入れ替わりが激しく、職場に定着する人が少ない
私が採用担当を経験して気づいたこと
採用の現場では、求人票に「働きやすさ」をうたっていても、実際には残業や離職率の高さを隠しているケースも見てきました。
「やりがい」ばかりを強調する求人は注意が必要だと強く感じています。
本当にスタッフのために施策を行っている職場なら、それを求人票に記載します。
それがその企業のスタッフ確保の強みになるためです。
こうしたサインに早めに気づくことで、搾取されにくい働き方を選べるようになります。
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看護師が自分を守るための方法
やりがい搾取に気づいても、すぐに環境を変えるのは簡単ではありません。
ですが、日々の中でできる工夫や考え方の切り替えによって、自分を守ることができます。
労働条件を客観的に把握する
- 毎月の勤務時間や残業時間を記録する
- 給与明細を保存して、未払いがないか確認する
- 法律上の基準と照らし合わせて、自分の労働状況を把握する
「やりがい」と「搾取」を切り分ける
患者さんに感謝される喜び=やりがい
低賃金や長時間労働を正当化する口実=搾取
→ この2つを混同しないことが重要です。
信頼できる相手に相談する
- 職場の先輩や同僚に意見を聞く
- 労働相談窓口や労働組合を活用する
- 客観的なアドバイスを得ることで「自分だけの問題」と思い込まずにすむ
転職という選択肢を持つ
我慢を続けることで心身を壊してしまえば、やりがいも続けられなくなります。
「転職」というカードを持っておくだけでも、気持ちの余裕が生まれます。
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やりがい搾取から解放される職場選びのポイント
やりがい搾取を避けるためには、「自分を守れる職場」を選ぶことが大切です。ここでは具体的なチェックポイントを紹介します。
給与・労働条件が明確に提示されている
- 求人票に給与や残業時間が具体的に書かれているか
- 「年収◯万円〜」など曖昧な表現ではなく、基本給・手当・残業代がきちんと明示されているか
残業代や手当が適切に支払われている
- 面接や口コミで「残業代が全額支給される」と確認できるか
- 夜勤手当や資格手当などが業界水準に沿っているか
休暇制度や福利厚生が整っている
- 有給休暇の消化率はどうか
- 育休・産休の取得実績があるか
- 福利厚生(住宅手当・研修制度など)が実際に利用されているか
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職場の声を確認する
- 実際に働いている看護師の口コミをチェック
- 離職率が高くないか
- 面接時に職場見学をお願いして、雰囲気を自分の目で確かめる
👉 自分に合った環境を探すときは、非公開求人を持つ転職サービスを利用すると選択肢が広がります。
例えば 看護roo! なら、美容クリニックや夜勤なし求人など、自分の希望条件に合う求人を効率的に探せます。
まとめ|「やりがい」は大切、でも搾取されてはいけない
看護師という仕事は、多くの場面でやりがいを感じられる素晴らしい職業です。
患者さんからの感謝や、誰かの力になれた実感は、他の仕事では得られない特別なものです。
しかし、その「やりがい」を理由に、低賃金や長時間労働を正当化されるのは やりがい搾取 にほかなりません。
やりがいと搾取は切り離して考える必要があります。
- 求人や面接時に「やりがい」ばかりを強調していないか
- 現場で精神論に偏っていないか
- 労働条件がきちんと守られているか
これらを確認しながら、自分の心身を守ることが大切です。
私自身、環境を変えたことで「やりがいを感じつつ無理なく働ける職場」に出会えました。
看護師としてのキャリアを大切にしたいなら、まずは自分を守ることから始めてください。
👉 「もっと安心して働ける環境を探したい」と思ったら、転職サイトを活用してみるのも一つの方法です。
もし今の職場で「やりがいだから仕方ない」と感じているなら、それはやりがい搾取のサインです。
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