なぜ看護師は”忙しすぎる”のか?
時間に追われる業務量
看護師の仕事は「命を預かる」というプレッシャーの中で、毎日が綱渡りのようなスケジュールです。
処置、投薬、記録、ナースコール対応、家族対応、入退院の準備など…業務は山ほどあるのに、時間は常に足りません。
特に病棟勤務では。「記録は勤務時間外に」「休憩はほとんど取れずに夜勤をする」なんてことも珍しくありません。
なんとか定時で終わろうとしても、予想外の急変や緊急入院で一気に予定が崩れることも…
人手不足が当たり前
どの科にいても聞こえてくるのが、「今日も人が足りない」の声。
新人が育つ前に辞めてしまったり、子育て中のスタッフが急な休みをとったり、そもそも定数が足りてなかったり。
心身ともに休まらない環境
看護師の疲れは、肉体的なものだけではありません。
「人間関係がギスギスしている」「先輩に怒鳴られる」「患者さんや家族に理不尽なことを言われる」など、精神的ストレスも多くかかります。
帰宅しても仕事のことで頭がいっぱい。
寝ても疲れが取れない。
「自分が壊れてしまいそう」と感じながらも、周りに迷惑をかけたくなくて言い出せない。
そんな状態になっている人も少なくありません。
このような背景があるからこそ、「のんびり働きたい」と感じるのは自然なことですし、決して甘えではありません。
次は実際にどうすれば”のんびり”を手に入れられるか、その方法を見ていきましょう。
看護師がのんびり働くには?選択肢と働き方のコツ
病棟以外への転職
病棟は圧倒的に業務量とプレッシャーが大きい分野です。
のんびり働きたいなら、まずは病棟以外の選択肢を検討しましょう。
- クリニック(夜勤なし、患者数がある程度限られる)
- 検診センター(基本ルーチンワーク)
- 訪問看護(多少自分のペースで動けることも)
- 企業看護師・産業看護師(募集は少なめ)
など
「忙しいのが当たり前」と思っていた職場を離れるだけで、驚くほど世界が変わることもあります。
看護師が働く場所は病院やクリニック以外にもたくさんあります。介護施設や保育園、医療機器メーカーなどと、看護師が活躍できる場所は探せばたくさんあります。どんな場所で働けるか知っておくことで自分にあった職場を[…]
働き方そのものを見直す(非常勤・派遣など)
「フルタイム・常勤」に縛られていませんか?
正社員でいること=正義という風潮はまだありますが、非常勤や派遣も立派な選択肢です。
- 日勤のみ
- 週3~4日勤務
- 派遣や単発バイトで自由に働く
収入はやや減るかもしれませんが、体と心の余裕は格段に増えます。
実際、私の周りでも「非常勤に変えたら人生楽しくなった」と言っている人もいます。
ゆるく働いて、副業もしてみるというのもありかもしれません。
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美容看護師など「ゆるく働ける民間系」へ
意外と知られていませんが、美容クリニックや脱毛クリニックなどの民間系は、夜勤なし・業務もルーチンワーク化されていることも多いです。
加えて、インセンティブで年収アップが狙える職場もあるので、「のんびり働きつつ、それなりの収入もキープしたい」という人にはおすすめの道です。
ゆうひ今の職場、しんどいけど…美容って自分にもできるのかな?夜勤や人間関係に疲れて、何度も転職を考えました。そんなときに出会ったのが"美容看護師"という働き方でした。とはいえ、最初は「未経験でもやっていける?[…]
一旦休職・無職期間を挟む
追い詰められているときは、「選択肢を考える余裕すらない」こともあります。
そんなときは、あえて一度離れてゆっくりするのもひとつの手段です。
- 家族と相談して数ヶ月だけ休む
- 転職先を決めてから、1~2ヶ月無職期間を作ってから辞める
- 失業保険を活用する
なんてことをやってみるのもありです。
「無職=悪」ではなく、自分をリセットする時間として前向きに捉える人も増えています。
転職前提で数ヶ月休んだあと、「自分にあう職場に出会えた」という人もいます。
ゆうひ看護師を辞めたら無職になる。それって怖くない?私も、病棟勤務を続けていたころは「無職=収入ゼロで不安」「ブランクがあると転職に不利」と思い込んでいました。でも実際は、転職先が決まっていたにもかかわらず[…]
実際に転職して”のんびり”を手に入れた話(体験談)
転職前:心も体もすり減らす毎日
以前の私は、二次救急の病院で病棟勤務していました。
日勤・夜勤を繰り返しながら、入退院対応、急変、看取り、ナースコールの嵐…
時間に追われ、記録はいつも勤務時間後。
残業はなぜか1時間を過ぎてからしかつけてはいけないと言われ、お金を満足に貰うわけでもなく。
ごはんもろくに食べられず、気づけば3kg痩せていました。
それでも「人手が足りないから」「みんなも頑張っているから」と、自分を追い込んで仕事を続けていました。
でもある日、「あ、もう限界だ」と思う出来事がありました。
患者さんとその家族から強く感謝される機会があり、それでも忙しさからその感謝の言葉を満足に受け取ることすらできず、次の業務に行きました。
先輩や周りからはいつも理不尽に怒鳴られており、その上で看護師としてのやりがいすらも満足に感じることができない、良いことをしたはずなのに、感謝されることをしたはずなのにその感情すらまともに消化できない。
その時に糸が切れたように
転職後:美容クリニックでのゆとりのある働き方
その後、私は美容外科の看護師として転職しました。
夜勤は一切なく、勤務時間は9時~18時。
患者対応はあるものの、命に関わるような急変はなく、記録も簡潔。
お昼休憩もきちんと取れて、勤務後に遊びに行ったり、朝活に取り組んだりする余裕も生まれました。
もちろん覚えることや接遇の難しさもありますが、精神的に追い詰められることが減ったことで、心に余裕が戻ったのを感じています。
それまでは「こんな職場本当にあるの?」と思っていましたが、ちゃんと探せば”ゆるさ”と”やりがい”のバランスのとれた職場はあるんだと実感しました。
美容看護師のメリット・デメリットや、向き不向きについて、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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「自分が楽に働ける」ってこんなに大事だったんだ
のんびり働けるようになって初めて気づいたことがあります。
それは、「ちゃんと休める」「ちゃんと笑える」ってすごく大事なんだということ。
看護師としてのスキルや責任感も大切だけど、一番大事なのは、自分の心と体を守ることなんじゃないかと思うようになりました。
もしいま、あなたが「もう限界かも」と思っているなら、それは逃げじゃなくて、自分を守るサインかもしれません。
では、私のように「のんびり働ける職場」を探すには、どんなポイントを見ればいいでしょうか?
次はゆったり働ける職場の特徴と見分け方を紹介します。
「のんびり働ける職場」の特徴と見分け方
「のんびり働けそう」と思って転職したのに、実際は「思ってたのと違った…」というケースも少なくありません。
だからこそ、求人票や面接の段階で”見抜く力”が必要です。
ここでは、のんびり働ける職場の共通点と、その見極めポイントを紹介します。
☑夜勤がないor少ない
「のんびり働く」ための第一条件は、生活リズムが安定していること。
夜勤がない、もしくは少ない職場は、それだけで心身の負担が大きく減ります。
- 美容クリニック
- 検診センター
- 外来クリニック
- 企業看護師
など
☑急変や緊急対応がない
業務の予測がつかない職場は、どうしても気が休まりません。
逆に「急変がほぼない」「基本はルーチンワーク」という職場は、精神的なゆとりが生まれやすいです。
- 療養型病院
- 老人保健施設
- デイサービス
- 検診センター
など
☑マニュアル化・役割分担がしっかりしている
業務が属人化している職場は、人によって負担の差が激しくなります。
一方で「業務がマニュアル化されている」「受付やクラーク、介護士と明確に役割分担されている」職場は、業務負担が偏らない傾向があります。
☑スタッフの定着率が高い
のんびり働ける職場は、人間関係のストレスも少ないため、離職率が低いのが特徴です。
求人票に「職員の平均勤続年数」が書かれていれば必ずチェックしましょう。
☑見学・面接で現場の空気を感じ取る
求人票では「ゆったり」「アットホーム」なんて書いてあっても、実際は違うことも。
見学や面接のときに、現場の空気感をしっかり観察しましょう。
チェックポイント
- スタッフ同士の雰囲気(挨拶してる?ピリピリしてない?)
- 休憩室がちゃんと機能してるか(物置じゃないか)
- 看護記録は手書き?電子?(業務効率にも影響)
職場のゆるさは数字や雰囲気ににじみでる
のんびり働けるかどうかは、「何科か?」だけではなく、人員体制・業務フロー・人間関係・急変リスクの有無など、さまざまな要素から判断できます。
求人票の言葉を鵜呑みにせず、実際の情報(見学・口コミ・転職エージェント)を活用することが大切です。
のんびり働ける職場を見つけるには?
「のんびり働ける職場に行きたい」と思っても、求人サイトを眺めているだけではなかなか見つかりません。
自分にあった”ゆるめの職場”を見つけるためには、戦略的な探し方が必要です。
ここでは、私自身が使ってよかった方法と注意点をまとめました。
転職サイトを使うなら「条件を絞り込みすぎない」
よくあるミスが、「希望条件を細かく入れすぎて、そもそも求人が出てこない」パターン。
例えば
- 年収〇〇万以上
- 土日休み
- 美容クリニック
- 夜勤なし
- 残業少なめ
- ○○県
これでは求人がゼロになることも。
最初は「夜勤なし」「土日休み」くらいの絞り込みから始めて、そこから絞ってみましょう。
気になる求人があれば、詳細はあとから見て判断しましょう。
口コミサイトやSNSで職場のリアルをチェック
求人票には「アットホームな職場です!」と書いてあっても、実際は人間関係がギスギスしていることも。
看護師向けの口コミサイトやX(旧Twitter)やGoogleマップの口コミなどを見てみると、職場の雰囲気や働き方の裏側が見えてくるかもしれません。
転職エージェントをうまく使う
のんびり働ける職場を本気で探したいなら、エージェントの活用はほぼ必須です。
なぜなら、次のようなメリットがあるからです
- 非公開求人が多い
- 内部情報に詳しい
- 応募前に職場の雰囲気を教えてくれる
- 条件交渉やスケジュール調整を代行してくれる
譲れない条件と妥協できる条件を明確にする
すべてを完璧に満たす職場はなかなかありません。
だからこそ、以下のように「譲れない条件」と「妥協できる条件」を分けておくことが大切です。
自分の場合は
譲れない条件
- 夜勤なし
- 急変や急患などのイレギュラーがほぼない
- 時間にゆとりがある
妥協できる条件
- 給料は下がっても良い
- 職場はどこでもいい
- 残業は月10時間以内くらいなら
などがありました。
自分にあった職場に出会うためにも、ここは一度紙や携帯のメモに書き出しておくことをおすすめします。
職場選びに運はいらない|正しい情報と行動だけでOK
「のんびり働きたい」という気持ちは、あなたが自分を大切にしようとしている証拠です。
後ろめたく感じる必要はありません。
求人票の表面だけでなく、リアルな情報・信頼できるサポートを活用することで、ちゃんと”自分にあったゆるめの職場”は見つけられます。
私が実際にのんびり働ける職場を見つけられたのも、ちゃんとサポートを受けられたからです。
一人で探していたらきっと無理でした。
「求人票だけでは判断できない…」という人こそ、プロのサポートを使って、あなたに合った職場を見つけてください。
まとめ|のんびり働くことは「逃げ」じゃなく「整えること」
- 朝起きるのが憂鬱じゃない
- ごはんをちゃんと味わって食べられる
- 家に帰って、家族と笑いあえる
- また明日頑張ろうと自然に思える
それって、当たり前のことかもしれないけど、忙しすぎた頃の自分は、全く手が届かないものでした。
もし今のあなたが、「このままだと壊れそう」と感じているなら、それは逃げではなく、変わるべきタイミングが来ているサインかもしれません。
働き方に正解なんてありません。
バリバリ働きたい人もいれば、ゆっくり自分のペースで働きたい人もいていい。
大切なのは、あなたが「自分らしくいられる場所」を選べているかどうか。
私は転職して、ようやく「看護師続けていてよかった」と思えるようになりました。
あなたも、のんびり働ける職場に出会えることを願っています。
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